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INTERVIEW「温故知新」vol.5 ブルース・オズボーンさんと井上佳子が語る「親子の日」
写真家ブルース・オズボーンさん、プロデューサー井上佳子さん
きっかけは、“パンクバンドの若者”
そもそも、親子の写真を撮りはじめたのは1982年。
最初は、“パンクバンドの若者”を撮影して欲しい
という仕事の依頼があったのがきっかけでした。
「バンドの若者だけで撮影するより、お母さんと一緒に撮ったほうが、
普段のイメージと違う面が引き出せるのではと考えて、
お母さんにもスタジオに来てもらって一緒に撮影することにしました」
オズボーンさん
「当初、私が妊娠中だったこともあって、お互いに親になることについて、
興味があったり自問自答の気持ちがあった時期。
ブルースとふたりで親子で一緒に撮影してみようと思いついたんです」
佳子さん
その時は、これからずっと親子をテーマに撮り続けるなんて、
全く想像していなかったおふたり。
ただし、出来上がった1枚の写真が放つ世界観に魅了され、
また撮りたいと、半年後に開催される予定だった写真展のテーマを
「親子」に決めたそう。
親子写真をとり続けて26年。親子という関係の素晴らしさを実感
それから、親子の写真をとり続け、
26年の間に1200組もの親子に出会ったおふたり。
「それぞれの親子には様々なドラマがありますので、
ひとつとして、同じ関係はないはず。一人の親と一人の子、
その基本的な関係こそ、社会の基本だと思います」
オズボーンさん
例えば、80年代に撮影した親子を数年後、
時間を変えてもう一度撮影をしたこともあったそう。
「おんなじ親子でも、その時その時で関係が
変化することもありますね。
お子さんの反抗期などでふたりの間に距離があって、
緊張感の漂う雰囲気の1枚から、反抗期が過ぎた何年か後の撮影では、
二人の距離がものすごく近づいた雰囲気になっていたり…。
関係がストレートに伝わってきます」
オズボーンさん
撮影は、真っ白なスタジオで、親子ふたりだけ。何も小道具もなく、
出来上がった写真はモノクロ写真にしているオズボーンさん。
「ふたりらしさを引き出したいから、
何もないシンプルなスタジオで撮影しています」
オズボーンさん
「日常的でないスタジオというスペースで、
なるべく自然な姿を撮影したいので、
コミュニケーションを大事にします。
ジャズのセッションのような感じだと思います。
親子の様子を見ながらブルースが語りかけて、
それに又、被写体の親子が反応するというような…。たまには、
スタジオに来る途中にケンカをしてしまった親子もいます。
そんな時には、出来上がった写真にも、
ちょっとだけ険悪な雰囲気が出たりしますが、それはそれで、
後からいい思い出として残っていると聞きます。
みなさんが、あの時は楽しかったね、とあったかい
思い出としてふたりの心に残っているのがうれしいですね」
佳子さん
「親子の日」運営サイトwww.oyako.orgの“親子エッセイ”には、
これまで撮影した親子から寄せられたエッセイが掲載されていて、
一緒に撮影をしたからこそ感じた、親と子のあたたかい関係が綴られています。
「親子の日」を通じて
「親子の撮影を始めて作品の数が増えるにつれ、
展示する機会は数多くあったんですが、
10年ほど前から、親子のことを考える機会としてなにか
方法がないかと思い、親子の日を作ろうと思い立ちました」
佳子さん
「とはいうものの、実際に何をやっていいか、
なかなかいい考えが浮かばず、月日が過ぎてしまいました。
それで、ふたりだけでも出来ることをまず始めてみよう
ということに考えを絞った結果、撮影会をすることにしました」
オズボーンさん
そして、記念すべき第1回目は、友人に声をかけ、
撮影する親子を募りました。その結果、
撮影したのが偶然にも100組ちょうどの親子。
「撮影会を手伝ってくれた知人が来年もやろうと言ってくれて、
毎年100組の親子を撮影することになりました」
佳子さん
最初はおふたりとそのお子さんが中心だったイベントは
今ではいろんな人が共感を持ち、手伝ってくれることに。
たくさんの人が興味を持ってくれたテーマだったからこそ、
年々参加する人数、規模が大きくなったのを実感しているおふたり。
「いろいろな年令の人が応募してくれますが、
若い年令の人が自分の親と一緒に撮りたいというケースも多くなってきています。
ブルース自身も、最初のコンセプトとして、
大人の親子を撮りたいという想いがあったので、少しづつ、
いつまで経っても親子は親子という私たちのメッセージが伝わったのかもしれません」
佳子さん
「そして、今後はもっともっと『親子の日』を広めたいと願っています。
大きな夢ですが、世界中の人に親子の日を知ってほしいです」
オズボーンさん
ただ知ってもらうというだけでなく、
生まれてきてよかったと感謝できる
平和な世の中になってほしいと考えているそう。
「命に感謝できるような社会になることが、
自分以外の人や自然を大切にしたいという思いにつながっていくと思います。
家族がないひとでも、親のいない人はいません。
だから、親子というテーマは、世界中の誰でも共有できるテーマ。
みんなが幸せになれるといいなという願いもこめて、
これからも親子の日に込めたメッセージを発信し続けていきたいです」
佳子さん

母の日や父の日などのように、一方向に感謝をするのではなく、
親から子、子から親へと双方向に感謝できる、新しい記念日として、
今後も親子の日がますます広がっていきそうです。
    これまで撮影した親子はなんと1000組以上。
  • 写真集『Oyako』
  • 『Oyako』シンコーミュージック発行

 

 

写真家ブルース・オズボーンさん

ブルース・オズボーンさん

1980年に来日後、写真展「LA Fantasies」を皮切りに、
日本での活動を再開して以来、テレビCF、広告写真、音楽CD、
インターネットムービーなど多岐にわたる分野で活躍。
ライフワークとなる「親子」シリーズは、1982年に撮影を開始。
その後、各地で写真展や写真集など多数手がける。
そして、プロデューサー・佳子さんと共に、
2003年に第一回目の「親子の日」を発信。
翌年「親子の日普及推進委員会」が発足し、さまざまな活動を行っている。

www.oyako.org

 

Photographer:Satoshi Osaka
Interviewer:Yukiko Morita

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