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INTERVIEW「温故知新」vol.3  菱沼典子教授が語る体を温めることの具体的な効能と大切さ
自分の体がどんな状態にあるのか、少しでも気にかける事が大事
看護の現場で、患者さんの腰をあたためることを
看護の現場で、入院中の患者さんの腰をあたためると、
お通じが出にくくて困っている患者さんのほとんどが、
便が出るようになったり、
つらい便秘が楽になったと感じていることがわかりました。
そこで、「あたためることは便秘に効果があるんじゃないか」と、
看護師たちの間で気づいたのが、そもそものきっかけです。
そこで、実際に、腰をあたためると24時間以内に
どんな作用をもたらすかデータをとったところ、
75%の人が便やガスが出るという結果がでました。
さらに、1ヶ月何もしない状態と、1ヶ月あたためた時を比べた場合、
便の回数は変わるかという調査をしたら、
半数以上の人が変わったというデータもとれました。
お通じが出るということは、腸が動くということ。
皮膚をあたためると皮膚の温度が上がり、
その刺激が体の中にいきます。
そして、脊髄で皮膚からの刺激がお腹の運動にリンクして、
お腹がうごく。あたたかくて全体も気持ちよく感じる。
そのリラックス効果で腸が動く
という反応が出るのではないかと考えています。
では、実際にどのくらいあたためればいいかというと、
通常の皮膚温より2,3度ぐらい高くなるのが
理想的だと思います。
だいたい、皮膚温は36度ぐらいだから、
40度ぐらいの刺激がいいかもしれません。
60度の濡れタオルで10分あたためると、
1時間たっても皮膚温は、通常の温度に比べて
2,3度高い状態が続いていました。
つまり、あたためて、その効果を出すには、今のところ
皮膚温が一度は40度ぐらいに上がる刺激と、
上がった状態をある程度維持する刺激、
この2つが必要だという見解です。
また、リラックス効果により腸が動くという点では、
交感神経と副交感神経のデータが集まってきています。
60度のタオルではまず、あたためる刺激により、
交感神経(緊張している状態)がいったん上がり、
時間が経つにつれて副交感神経(リラックスしている状態)の
度合いがじんわりと上がっていく可能性があります。
花王から販売されている、蒸気温熱シート「めぐリズム」は
40度の刺激が5時間以上続きますが、
はじめから副交感神経が上がると発表されています。
最初に、看護の現場で行っていたのは60度のタオルですが、
めぐリズムと同じ40度の刺激でも、
便通が楽になったとのデータもあります。
あっためることは、忙しい現代人にも必要なことではないでしょうか
私たち人間は、交感神経よりも
副交感神経がしっかり働いていることが大事です。
といっても、朝起きて、通勤電車に乗り、仕事して、
その中での人間関係に悩んだり……。緊張した状態、
つまり交感神経が働いている状態が続きがちになります。
日常生活の中で、交換神経だけが盛んだと、
どこかで人は参ってしまいます。
食事や睡眠時間を削って働く人も多いですよね。
逆に、食事や睡眠、便通などは副交感神経が働き、
リラックスな気持ちになれる時間です。
とはいっても、忙しい人はなかかなかすぐに、
交感神経が勝った状態からすぐに
副交感神経に切替えにくいのではないでしょうか。
それには、体の一部をあたためて、
刺激をくわえるのがいいかもしれません。
それに、体のどこか1箇所が冷たいとよく眠れません。
皮膚の表面温度が均一になったときに、人はぐっすり眠れます。
だから、どこか1箇所でもあたためてあげる。
そうすると体全体があったまり、快眠につながります。
便秘がちな人も、あっためることで便通がスムーズになります。
また、お風呂に入らずシャワーだけの人がいますが、
シャワーだけだと体はあたたまりません。
あたためるためにはお風呂に入ったほうがいいですね。
ほかにも、40~42度のお湯で足浴もおすすめです。
10分程度つかると、じんわりあたたまってきます。
お腹や腰をあたためる場合は、蒸しタオルがいいですね。
蒸気の重みで肌にフィットし、
皮膚の深部に伝わりやすくなります。
臨床実験で行っていたのは60度ですが、
かなり熱いお湯でタオルを絞るのは困難なので、
一般の家庭では40~50度ぐらいのお湯か
電子レンジであたためるのもいいかもしれません。
自分の体に目を向けて、今すぐあっため生活を
体をあたためることで、便秘が解消したり、
良く眠れるようになったり、さまざまな変化があります。
ただ、前提として、体を冷やすことは体に負担がある
ということも知っていてほしいですね。
夏の冷房で体が冷えたなと感じたら、
夜はお風呂につかってあたためてあげたり、
ファッションでも、肌の露出が多いと
その分冷えは絶対にあるはず。
自分の体がどんな状態にあるのか、
少しでも気にかけてあげることが大事だと思います。
特に、無茶なダイエットで、見た目は細いけど、
単に筋肉だけが落ちていて
脂肪はたっぷりあるような人は心配です。
みなさんには、ぜひ体のあたためを習慣にしてほしいですね。
 
    自分の体に目をむけるためには
  • 絵本

  • 『人のからだ』講談社

 

 

菱沼典子教授 プロフィール

菱沼典子教授

聖路加看護大学教授。基礎看護学所属。
腰背部熱布罨法の整腸作用による生活行動への効果と心地よさや、
子どもが体の仕組みを学べるプログラムの開発など、
多岐にわたる研究を行う。
 

 

Photographer:Satoshi Osaka
Interviewer:Yukiko Morita

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